安住の地を求めてパリを旅立ち、次なる都バンコクへ

ぢみ散歩 ●第三回 爪木埼灯台と水仙

IMG_5435これももう大分前のことになりますが、東伊豆の爪木埼というところに、水仙を見に行きました。歴史ブームで大盛り上がりの下田、道の駅開国下田みなとには大勢の観光客でごった返していましたが、そこを軽く見過ごして戻ってくるかたちで「水仙祭りこちら」というショボイ看板(失礼)を辿って爪木埼へ到着。

IMG_5418IMG_5423祭り期間中ということで予想外に人が多かったのですが、それにしても肝心の水仙が地味なのはなぜ。どうやら旬は通り越してしまったようで、少し傾き気な水仙たちです。そしてもともとは自然に水仙が咲き乱れていた場所だというのに、きちんと並んで植苗されています。これはどうもカタルシスを得ないなと思いながらも砂利浜に近づいてみたら、思いのほか水が綺麗で驚きました。東海岸はスキューバなども行われるというのは納得です(なにが見られるかは不明)。

IMG_5428そしてさらなる海の景色を堪能するために、灯台まで登ってみました。道はコンクリートで舗装されていて歩きやすいですが、やはり坂道なのでだんだんしんどくなってきます。灯台からは東伊豆独特のゴツゴツした海岸沿いをぐるっと見渡すことができて壮観でした。下の水仙祭りよりも達成感があるためか、さらに次の灯台まで歩く人もいたりしてプチハイキングの方が人気でした。それにしてもみなさん地味好きなんですね、と思わずにはいられない爪木埼でした。

ぢみ散歩 ●第二回 真鶴半島の真相

IMG_5517早川より真鶴半島入り口へ戻ってくる途中、真鶴ブルーライン(有料)沿いの崖にせり出したところにイタリアンレストランがあります。店名のペッシェ・グロッソとは大きな魚を意味します。店内は海側全体にガラス窓が施され絶景を眺めながらのお食事が楽しめます。穴場(というか場所が地味)ですがお客さんはかなり来ていたので名店なのでしょう。
IMG_5519さて、真鶴半島にはなにがあるのかと思いきや、これまた地味な釣り場やおはやしと呼ばれる原生林があるぐらい。その原生林の近くに、真鶴に所縁があり名誉市民でもあった中川一政の美術館があるので覗いてみました。
IMG_5520中はさっぱりとこじんまりしていますが、代表作のあうんの獅子や薔薇、真鶴~福浦など地元の漁村など、中川一政ワールドを十分堪能できます。さらに自作の額が一堂に会し一部屋埋め尽くしているのは面白い。独特の模様や色遣いでそれぞれの絵画に合わせた額が見られます。
帰り道に中川一政が何点も描いていた福浦漁港の風景を見に行ってみましたが、絵画上では黄金に輝いていた町も実際には思った以上に地味でした。それでも当時は活気のある漁村で感銘を受けたのでしょう。

ぢみ散歩 ●第一回 秀吉の一夜城

国内でも海外でも、旅行をするとどうしても地味な方へ地味な方へ足を伸ばしてしまうのは、天の邪鬼な旅人によくある話。例に漏れずアマノなもんたの足取りを(思い出して)辿ってみました。
IMG_5503IMG_54892010年1月中旬、まだ暖かくなるには早い時期ですが、例年どおりなら梅がそろそろ咲き始めます。自宅から車で30分もあれば着くので今年も熱海梅園に行ってみました。園内は早くも出店や提灯で祭りムードを醸し出していましたが、肝心の梅は1~2分咲き程度でなんとも寂しい様子。団体さんの波をかき分け(る程でもない)一回りして梅園を後にしました。
その後真鶴半島へ行ってみようと車を走らせること数十分。突然眼前に小高い丘に城のような姿が現れ、あれ?と思ったら、真鶴半島の入り口が全く分からないままスルーしてしまったようで、すでにそこは早川であったと判明しました。一旦幹線から外れると道路脇にところどころ「石垣山一夜城跡」の標識がさりげなくアピールしてくるので、ここはとりあえず見るしかないと思わされ、看板通りに山を登っていきました。

IMG_5507ここでちょっと「石垣山一夜城」について説明すると、1590年の小田原征伐の際に北条氏の小田原城を見下ろしいつでも攻め込められる山の頂に秀吉が建てた城です。一夜にして建てたと思わしめたことから一夜城と呼ばれますが実際には80日で建てたそうです。

山道の途中車からでは一瞬気づきにくい看板があります。よくよく見てみると「石垣山に参陣した武将」たちが1人ずつ数メートル間隔で紹介されているのです。なんて地味で見づらいんだと思ったけれど、登山(散歩)する人用にあるのであって車用ではないんですね。
IMG_5509城趾の入り口に車を停めて、しばらくは石段と舗装された山道を登っていきます。中腹付近ハイキングに来た地元の方々も少しはいましたが、全体的には人寂しくだだっ広い草原が広がっています。そこからは岩というか崩れた城の石垣がごろごろと転がったままの様な、足場の悪い道をよっこら登ります。

IMG_5512頂上には他の石と同じかと思って一瞬見過ごしそうな「本丸跡」の石碑と、小さな展望台が設置されています。ここから「もちろん小田原城が見えるはずだ」と思って展望台に登ってみましたが、手前の森が生い茂りすぎて小田原城も駅もなんにも見えませんでした。なんだか騙された気分?

IMG_5514IMG_5516それでもなぜか小田原を討ち取ったような気分に勝手になって、現存する城よりも何もない城趾の方にロマンを感じつつ充実した横道だったと、石垣山を後にしたのでした。

車で下りていくと小田原城の姿が見えてきましたが、やっぱり見づらいのは、他の白い建物と完全に同化してしまっているからだと分かります。それよりも普通の城って山の上とまではいかなくても割と小高いところにあるものなのに、小田原城は海岸線からほど近いところにあるということを改めて地図で見てビックリしました。

明けましておめでとうございます

3ヶ月間ご無沙汰しておりました。
10月末から日本で療養していましたが、再び常夏のタイへ戻る時がやってきました。
去年はいろいろと書くべきことが多かったはずなのに、一つ一つがなかなかまとまらずに載せられない記事が積み重なってあまり良い成果をあげられませんでした。今年は記事をスリム化していき、エントリーを頑張って増やしたいと思います。

お時間のあるときは是非ともお付き合いくださいませ。

バンコク国際映画祭2009

先日市内2カ所の大型映画館で行われたバンコク映画祭に行ってきました。オープニングはヘルツォーク×ニコラス・ケイジの「Bad Lieutenant: port pf call new orleans」でしたが、インヴィテオンリーで観られなかったので一般公開で、これは後ほど。

★マノエル・デ・オリヴェイラ「Eccentricities of a blond hair girl」葡・西・仏
Eccentricities面白い。なにそのラスト!って思わず口にしてしまう、終わってから笑いが込み上げてくる作品です。63分という極めて短い映画ですが、余すところ無くオリヴェイラ。凄いオシャレだし、凄い情熱だし、凄いシニカルで、凄い悲壮感。巨匠のこれくらいの中短編を観られるとすごく贅沢をした気分になります。「Belle toujours」以来日本公開が少ないのが残念ですが、観られたらラッキーですね。

★エリア・スレイマン「The time that remains(Le temps q’il reste)」パ・仏
Temps_qu_il_resteパレスチナに住む家族を描く、母親から送られた手紙を元に監督の父親の話と、自身の記憶を織り交ぜて作られた寓話。
父親は鉄砲を作る鍛冶職人で、政府から常に狙われているが、幾度となく捕まってはそのたびに無事に家に帰ってくる。内戦は次第に平定され、新しい時代がやってくる。あんなにみんな大嫌いだったアメリカの、映画や歌が、今では若者たちに浸透していて、不思議な気持ちで見守ってきた少年も今や中年おじさん(この人がどうしても市村正親にしか見えない)。
驚きと笑いと少しの皮肉を混ぜながら時代が移り変わり、その構成が実によくできている作品。中東映画はいつもなぜか心を惹かれて観てしまうけど、こんなに万人に勧められると思った娯楽作品は今までなかったように思います。
観た後に調べていたら「D.I」の監督だったことを知りました。個人的に凄く思い出深い映画だったので、やっぱりこの人面白い、と1人で納得しました。
(※フランスで流された予告。これだけで既に面白い)

マルコ・ベロッキオ「Vincere」伊・仏
23-vincereイタリアが誇る巨匠の描くムッソリーニの知られざる秘密。そのふれこみだけで十分気になる映画。20世紀初頭のミラノと、女性(収容)修道院の二つの場面が、戦争が激しくなっていくにつれて対照的に描かれていきます。
女性が権力と戦うときに魔女的な扱いを受けて虐げられるという展開は、歴史的によくあることだとわかります。つい半年くらい前に観たイーストウッドの「チェンジリング」もそんな話でした。内容的にはあらすじ云々よりも、イタリア映画らしい重厚なセリフと、オマージュ的映像のモンタージュ、行進曲とともに存在感を出す白字幕が最高に格好いい映画です。

ペドロ・コスタ「Ne change rien」葡・仏
nechangerien_1モノクロで綴るとあるバンドのレコーディング風景。それだけです。凄く盛り上がるわけでも、ドキドキするわけでもないのに、なぜか目が離せない100分。白黒はっきりした映像だけをまぶたに焼き付けさせて、けだるいフランス語の朗読ともつぶやきともとれる歌が脳に浸透してしばらく忘れられなくなります。
しかしながらこれはどこかでゴダールの「ONE PLUS ONE」と比べては、ミックジャガーの迫力のせいだろうか、あの凄まじさには叶わないと思ってしまう。シャンソンのべたべたしたけだるさは好きな方なんですが、ちょっと長かった。

ペドロ・アルモドバル×ペネロペ・クルス「Broken Embraces(Los abrazos rotos)」西
Almodovar平日の上映だというのに満席+通路席まで出るという異様な事態。それだけ今回一番の注目度でしたが、それを1ミリも裏切らない出来に、エンドロールで会場から自然と拍手が沸き起こりました。
これまでの作品とはちょっと違ったミステリーテイストの作品でしたが、最後はやっぱり母親が秘密を握ったまま幕を閉じるいうところが、女性回帰的でこれぞアルモドバルという感じでした。
beペネロペはもう息を呑むほどの美しさで、歳はとってるはずなのに、昨年のウディ・アレン作品とはまた全然違った、圧倒的な絶世の美女を描き出している力に感嘆です。
構成やトリックなどいろいろ書きたいのですが、内容は一部英語字幕が早すぎて理解が及ばなかったので、誤った解釈を恐れて、もう一度日本で観てから考えたいと思います。

●キアロスタミ監督の新作も気になりつつスルーしてしまったので、いつかどこかで観られればいいなと思っています。日本映画では橋口亮輔監督の「ぐるりのこと」が出品されていました。全体として様々なジャンルが一同に観られてとても充実した映画祭だったと思います。

●バンコク映画祭にはこのほかに東南アジアコンペ部門があり、フィリピンの「AURORA」というビデオ作品を見たのですが、画面のちらつきが気になったのと、背景知識不足で十分に理解することが出来なかったので、感想は割愛します。